「住まい」を考える人生の3大タイミングを “結婚”“出産”“育児” のプロに聞きました!
ライフスタイルに合わせた住まいづくりのコツとは?
育児に合わせた
住まいづくりのコツ
成長する子どものことを踏まえ、ベストな住まいづくりを考える
子どもが生まれるのをきっかけに、「住まい」を見直される方は多いと思います。でも、いざどうするかを考えはじめると悩みは無数に出てくるものです。ただ、子どもはいつまでも赤ちゃんのままいるわけではなく、文字通り「あっ」という間に育っていきます。赤ちゃんのときはベストと思っていた住まいでも、大きくなるに連れてそうでなくなる可能性もあります。
例えば育児に適した「閑静な住宅地」に惹かれたとしても、両親ともに通勤の便が悪い場合、子どもの保育園入園後に「駅近」に住み替えたいと考えるようになるかもしれません。
また、子どもの誕生と同時に購入した場合、建物の修繕が必要になりだすタイミングと、教育費がかかりだすタイミングが重なりやすい点なども注意が必要です。
ただし全方向での「ベスト」を狙うのはあまり現実的ではありません。優先順位を常に意識しながら、バランス感覚を持って検討していきましょう。
公園、小児科、保育園…… 子どもにとって大切な施設をチェック
まず、育児しやすい住まいを考えるとき、“どこ”に住むのかが重要になります。
たとえば公園ひとつをとっても、家からの距離や交通量はもちろんですが、公園を管理する自治体の方針、周囲の治安、住人の傾向まで含めてリサーチする必要があります。最近は子どもが「大声を出してはいけない」という決まりのある公園なども増えているので、のびのびと遊べる公園かどうか、引っ越す前に様子を見に行ってみるのもいいかもしれません。
また、小児科医院、保育園など大人の暮らしには縁のない施設も「子育て」するうえでは必要不可欠です。これらの有無だけでなしに、評判や診療時間、受け入れ体制なども事前に調べておきたいものです。
どんな教育を受けさせたいかも考えて、住む場所を選びましょう
さらに長い目で見ると、「どういった教育を受けさせるのか」といった視点も住まい探しには必要です。特に公立校に進む場合、住まいのある学区(小・中学校区)が子どもの暮らしを大きく左右することになります。
私自身、長女が小学校に入学して初めて「地域に根を下ろす」感覚を知りました。地域の公立校を軸にした「見守りの目」は知人が多くなるほど厚くなり、安心をもたらすものだと実感している毎日です。
小さな子どもにとって、住まいは危険でいっぱい
住まいの外に加え、住まいの内に対してもそれまでとは異なる見方、選び方が必要です。ただし、広ければ良い、部屋数が多ければ良いという単純な話ではありません。
住まいの内側、家の中で起こる「不慮の事故」で命を落とす子どもは年齢が小さいうちほど多く、その危険性は交通事故を大きく上回るといわれています。住まい選びの時点から、家庭内事故を予防するという考えを持ちましょう。
家庭内事故を未然に防止できる、安全な住まいをつくるには
では、どのような点に着目していくべきか、具体的に挙げてみたいと思います。
まず、住まい内部での事故の危険性を減らすために、段差のないフラットフロアはマストです。子どもは注意力が低く、ところかまわず走り回るため、段差が無いだけでも事故の確率は大きく下がるはずです。
また、掃除のしやすい動線や間取りを事前に想定しておくことも大事。部屋をきれいにしておくことは、子どもの転倒やゴミの誤飲などを未然に防ぐことにつながります。それに子育ては24時間休みなしですから、家事の負担を少しでも減らせるかどうかはとても重要になります。
子育ては目先の1、2年で終わるものではなく、十数年スパンで続くものです。可能な限り「先々まで想定」し、あとの「不測の事態」は楽しんでしまうくらいの大らかな心づもりも大切です。慎重に、でも悠々とした気持ちで、「ベストな我が家」を探しつくり上げてください。
藤原さんの住まいづくりのコツ
住まいを購入したいなら、子どもの就学はいいタイミングのひとつ
公園や小児科医院など、大人が使わない施設もしっかりチェック
教育方針を決めてから、それに沿った環境を整える
不慮の事故を未然に防ぐためにも、部屋はきれいに、フラットに
住まいづくりは、不慮の事態を楽しむぐらいの心づもりで

執筆者:藤原千秋さん
主に住まい周りの記事を専門に執筆するライターとして10年のキャリアをもつ。現在は並行して育児系記事・コラム執筆も。大手住宅メーカー営業出身三児の母。『「ゆる家事」のすすめ いつもの家事がどんどんラクになる!』『フニワラさんの無理なく続けるハウスキーピング術』など著書、マスコミ出演多数。